Jitz. LIFESTYLE

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それでも世界を知りたい、あなたへ

当ブログで以前よく読まれていたものに『誰かに心酔するってのは“覚悟”が必要だ』という記事がある。

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この記事で書いたことはつまるところ、所謂ご意見番や権威筋の発言を鵜呑みにすることなく自分の直感と経験にしたがってキャリア形成やスキルアップをしましょうって話だ。昨今はとくに世界情勢や時事に通暁することを盛んに奨励する風潮にあるけど、本当にあんたの生活の中で世界情勢を知ることが役に立っていますか?という俺の問題意識をあぶり出したものだった。

 

この主張は、個人のファイナンスや資産運用のサポートを生業とする今も変わることはない。しかし、それでもなお世界情勢を理解したいという一般の初学者向けに、俺なりの実践的な海外時事の観測方法を示しておこうと思う。「日経新聞の読み方」や「インテリジェンス入門」みたいなコンテンツがネットや書店で幅を利かせているのだが、その多くは実利に結びつきにくく学習効率が悪いノウハウであることがほとんどだ。

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大事なことは多方面でのあらゆるファクターを有機的に結びつけていくという作業。断片的に情報を貪るだけの情報オタクにだけはなるな。抽象的な概念論にはなってしまうが、さっそくその方法論を紹介していこう。

 

世界を知りたければ、マネーの動きを追え

国際情勢を理解する上で初学者が必ず陥るのが、国際政治の文脈から時事を追おうとすること。ところが国際政治というのは徹底的なリアリズムの論理で動いていて、その文脈には特殊な論法が内在しているので、門外漢には専門的な教育を受けていないかぎり理解することは難しい。とくに国際関係論や戦略学というフレームワークは日本が立ち遅れている分野といってもよく、違ったアプローチで動きをつかむことが必要になってくる。

 

周知のこととして国際情勢というのは経済と密接に連動している。その経済の動向をつかむには、国際金融市場の動きを追うことが最適解となる。国際情勢・経済・国際金融の3要素は点と線で結びついている。なにやら陰謀論めいて聞こえるかもしれないが、歴史が動くところにマネーの動きあり、というのは近代以降の歴史が証明している既成の事実なのだ。現代を読み解くにはマクロ経済の基礎的な知識は必要不可欠になってくる。

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では、具体的に国際金融市場にはどのようなファクターが存在するだろうか。為替・債券・株式といった主要な金融商品に加え、デリバティブと呼ばれる先物・オプション取引などの派生商品も含まれるが、これらすべてをフォローするだけでとんでもない労力を必要とすることになってしまう。さらには各国政府の金融政策などについても、ある程度の理解が求められる。

 

国際情勢分析の肝となるのは、いかに情報を捨てるかということだ。絡み合うファクターが多すぎるがゆえに取捨選択をある程度アウトソーシングして、必要な情報のみにフォーカスし深掘りするという点ではメルマガという媒体が役に立つ。注意すべきはいわゆる評論家筋のメルマガではなく、エコノミストやディーラー、ファンドマネジャーといった実際にマーケットでポジションを持ちながら市場をウォッチしている実践家による有料メルマガが有益だ。

 

有料であるがゆえに情報の質が高く、メルマガという媒体の特性上、即時性が売りなのでタイムリーで新鮮な情報に触れることができる。個人的には「闇株新聞プレミアム」という媒体をオススメする。経済紙の記者なども多く愛読する、業界でもよく知られた名物媒体だ。

闇株新聞 the book

闇株新聞 the book

 

 

エコノミストやファンドマネジャーといった市場プレーヤーは定点観測的にマーケットを注視し、日々あらゆる統計数値や経済指標と格闘する職種の人たちだ。日々欠かすことなく市場をモニタリングし続けているので特異な変動を示す“外れ値”を有意に選び出し、それがどのようなボトルネックに起因して、どう市場に作用するのかということまで分析をしてくれるだろう。餅は餅屋に任せろ、そーゆーことだ。

 

ただでさえ広範な経済指標を一から学習する必要もなく、数字を隅から隅までモニタリングすることもなく、必要なトピックだけを効率的にメルマガで取得することができるわけだ。国際金融に専門特化した良質なメルマガを1本とっておけば、新聞みたいなムダの多いパッケージに目をとおす必要はなくなる。

 

まだ新聞なんぞに消費してんの?

金融系のメルマガで情報を取得するというのは、言ってしまえば新聞やニュースなどで流れる表向きの事象の裏面、水面下の動きを観測することにほかならない。裏面で起きていることが表面にどう反映されているかという時事は、今のご時世であればほぼ自然に、お金をかけずとも目にするし耳に入るはずだ。新聞というメディアに月々5千円近くの費用を献上するのであれば、少額でもミニ株に投資してみてミクロ経済・市場の揺らぎ、相場感覚を体に染み込ませたほうがよっぽど有益なのだ。 

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ただし逆のアプローチも存在する。活字離れが深刻化しつつある現代で、あえて新聞という公開情報から論理を組み立てるというのも一つの戦略ではあるのだ。しかし、公開情報には必ず情報を流すことで利益誘導をはかる意図が介在しているので、そのバイアスを取り除くだけの情報リテラシーが必要だし、政治経済の文脈を正しく認識できる幅広い知的教養が必要になってくるので、情報のエキスパートでないかぎりはこちらのアプローチは難しいだろう。

 

それでもなお新聞が読みたいという方には『フジサンケイビジネスアイ』のような、情報が凝縮したタブロイド紙をオススメする。同紙はコンパクトで無駄のない紙面でありながら金融情報に関しては米ブルームバーグと提携して厳選された本格的な情報が掲載されている。しかもアプリで電子版を購読すれば月々1,000円程度で読むことができてしまうのでお得だ。

 

世界を第二極から眺めよ

表面のトピックを追うために、新聞や雑誌などを購読する必要はない。ただ世界で起きている出来事を理解するためには、セカンドオピニオン的に表面の事象を正しく説明してくれる識者の存在もまた不可欠だ。

 

では、どのような識者であれば裏面で得た情報を正しく肉付けしてくれるのだろうか。結論からいうと、世の中のメインストリームを形成している教養人(たとえば、外務省の出身者など)ではなく、主流からはずれた第二極に身を置き、斜に構えた視点を持つ人物が望ましい。

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映画『裏切りのサーカス』より

 

実は世の中には「情報の交差点」と呼ばれる立ち位置を生業にしている人たちが存在するのだ。つまり、ある方面では価値がなくとも他方面では需要がある非対称な情報を、正しくマッチングさせて流通させることでさらに価値のある情報を得るフィクサー的な業界人のこと。

 

本来的には特定クラスタのトピックには無縁の職業でありながら、広範な人脈によって不本意であっても容易に機密情報にアクセスできてしまう人たちなのだが、彼らは非主流であるだけにバイアスのかかっていない、鮮度が高い生の情報を仕入れることができる。

 

まず紹介したいのが、明快な論旨でロシアの視点から世界情勢を読み解くジャーナリスト・北野幸伯だ。モスクワ国際関係大学という、ロシア国内でインテリジェンス・オフィサーを養成する機関で教育を受け、今なおモスクワに住み、ロシア人の思考様式で世界を眺め続けている。

 

RPE(ロシア政治経済ジャーナル)』というメルマガを発行していて、ロシア地政学の難解で特殊な論理も「クレムリン・メソッド」と自ら名付けた独自の手法で噛み砕き、わかりやすく明快に読み解いてくれるので彼の著作はとくにフォローしておくべきだろう。

日本人の知らない「クレムリン・メソッド」-世界を動かす11の原理

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ボロボロになった覇権国家(アメリカ)

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また熱烈な信者とともにアンチも多く、その発言が常に物議を醸すハイパーメディアクリエイターこと高城剛も、優れた嗅覚と慧眼の持ち主だと思う。あらゆるコンテンツに精通し、世界中のセレブとも親交があるだけに彼のもとには高濃度の情報が押し寄せる。非政治経済クラスタの人物ながら、その情報の質の高さと精度にはいつも驚かされる。

 

世界中を移動し続ける高城特有の問題意識は鋭い洞察と突飛な発想を繋ぎ合わせ、陰謀論者も顔負けの大胆な仮説を構築するのだが、その発想はあながち間違ってないことが多いように思う。やはり、クリエイターならではの感性が時代に呼応するのだろう。

分断した世界 逆転するグローバリズムの行方 (集英社ビジネス書)

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2035年の世界

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予測はするな、把握しろ

さて、ここまで情報を取得するべき媒体が精査できれば、あとは情報と接する心得が重要になる。集めた材料から情勢を予測するよりも、国際関係が現時点でどの材料に反応しているのかを把握したうえでシナリオを組み立て今後に備えるという、いわば“順張り”の発想がここでは求められる。どこまでいっても、人間の頭で考えた定性的な予測というのには限界があるのだ。

 

地政学や国際政治学といったアカデミズムは、結果論として帰納的に現象を整理することはできるが、演繹的に先を予測することはできない分析的な枠組みでしかない。これらを学んだからといって世界情勢の裏にうごめく力学が見えるようになるかというとそうではなく、むしろ真因をつきとめようとするならばマルクスの資本論や古典経済学などのアプローチから世界認識につとめた方が、よほど事の本質が見えるだろう。

 

冒頭でも触れたとおり、国際情勢を読み解くには今や金融と経済に関する知識は必須なのだ。さらに理解を深めるには、地域に根ざした歴史や宗教的背景、政治力学など多岐にわたる教養が必要になってくる。これから国際情勢を学ぼうという方は世界を知るためには、それなりの努力と覚悟が必要なのだということは肝に銘じたほうがいいだろう。

 

推奨図書: 

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